誰のための場所なのか?常にそこが問題だ
すべてのデザインには対象(どこに向け、誰のために)が存在する。建築、グラフィック、プロダクト、WEB、あらゆるジャンルにおいて、対象なきデザインなど存在しない。それではコワーキングスペースは一体どこに向け、誰のためにデザインをされているのか?これが最も重要な問いである。
時代はいつも新旧入り混じる社会
時代は変わり。時は流れ、いつかは必ず過渡期を迎える。考えてみれば、私たちは常に新しいものと古いものが入り混じるその時代に生きている。例えば、最近よく聞くキーワード「youtuber」。20世紀にはありえなかったこの職業は、今や小学生たちの成りたい職業としても堂々のランクインを果たしている。一方で、このことを嘆く大人も多い。理由は様々あるだろうが、少なくとも子供たちの考えているそのイメージと大人たちが抱いているイメージは、多くの場合ずれている。しかし本当の問題は「youtuber」を疑わしいと思う大人たちの大半がyoutubeのことをあまり知らないことだ。人は、根本的に知らないものや評価できない事に対し、単にネガティブになりやすい傾向がある。いつの時代も、私たちは各々が生まれた時代の考え方にとらわれていて、新しいものを正しく捉え、評価することが難しい。
新しい時代に生きる者たちがいる
コワーキングスペースは、新しい時代を生きようとする者たちの集まる場所だ。新しい働き方、もっと言えば、新しい生き方を実践する者たちの集まる場所、それがコワーキングスペースである。しかし私たちは、新しいものを理解する者、理解できない者たちの間にあるギャップの中にあって、いつも悩んでいる。新しい時代を作ろうとする者たちは、いつもそんな生みの苦しみの中にあるといって過言ではない。
時代を象徴する全てのアートや音楽は、その時代を勇気づけた
時代を象徴する全てのアートや音楽は、時代を表現していると同時に、その時代を創ろうとした者たちを勇気づけてきた。バロックがその時代の人の気持ちを表し、ピカソが個人主義の抽象画であったように。コワーキングスペースは一体どんな役割を追っているのだろうか?そう考えることが最も重要である。
コワーキングスペースの役割、それは新しい時代を応援し創造すること
コワーキングスペースは、新しい時代を生きようとする人々を勇気づける、そんな場所でなければならない。新しい時代に楽観的であるかそうでないかは問題ではない。新しい生き方にあるすべての者は、総じて生みの苦しみの中にある。つまり、コワーキングスペースに必要なのは、彼らを支え続けることだ。彼らがどのようなことに迷い、どのようなことを期待しているのか、そこがコワーキングスペースが考えなければならない仕事なのだ。