国土交通省「コワーキングサミット2018」 @ yahoo LODGE
登壇者
<ファシリテーター>
① 小笠原 伸(白鴎大学ビジネス開発研究所 所長、白鴎大学経営学部 教授)
<パネリスト>
② 植田 裕司(ヤフー株式会社 オフィス・経営支援本部 コワーク推進部 部長)
③ 岡 秀樹(コワーキングスペース秘密基地 代表)
④ 坂本 大祐(合同会社オフィスキャンプ 代表社員)
⑤ 土山 広志(株式会社リビタ 資産活用事業本部 地域連携事業部長)
⑥ 堂野 智史(公益財団法人大阪市都市型産業振興センター)
⑦ 野口 純一(部長 兼 メビック扇町 所長)
⑧ 星野 邦敏(株式会社コミュニティコム 代表取締役)
⑨ 土屋 武大(国土交通省 国土政策局 総合計画課・広域地方政策課 広域政策企画官)
開催情報
国土交通省は、6月18日に、様々なヒトや情報の対流促進の場であるコワーキングスペースの運営者又はコミュニケーターを一堂に会するイベントを初めて開催します。
国土交通省は、多様な個性を持つ様々な地域が相互に連携して生じる地域間のヒト・モノ・カネ・情報の双方向の活発な動きである「対流」を全国各地でダイナミックに湧き起こし、イノベーションの創出を促す「対流促進型国土」の形成を国土の基本構想として推進しています。
(参考:国土形成計画の概要)http://www.mlit.go.jp/common/001109414.pdf
これを踏まえ、様々なヒトや情報の対流促進の場であるコワーキングスペースを、イノベーションを創出する「知的対流拠点」と位置づけ、その運営者又はコミュニケーターを一堂に会するイベントを、白鴎大学(栃木県小山市)とヤフー(株)との共催で実施することとしました。本イベントでは、各地のコワーキングスペースでの対流事例や課題を共有するとともに、登壇者や参加者同士の新たな繋がりによる対流促進を目的としています。是非ご参加ください。
1.概 要
○日 時:平成30年6月18日(月)
●コワーキングスペースサミット2018【18:30から2時間程度】
18:00 受付開始
18:30~18:35 本イベントの趣旨説明
18:35~19:05 コワーキングスペースサミット2018登壇者からの自己紹介
19:05~ パネルディスカッション
●懇親会(希望者対象)【パネルディスカッション終了後~21:30】
○場 所:ヤフー(株) オープンコラボレーションスペース「LODGE」
(東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町17階)
○参 加 費:無料(懇親会に参加される方は、別途、受付にて懇親会費用1,500円を徴収いたします。)
○取 材 等:取材位置・時間、カメラ撮りにつきましては、現地係員から指示がございます。
○登 壇 者:別紙のとおり
2.傍 聴
○本イベントの参加・取材等を希望される場合は、件名を「コワーキングスペースサミット2018傍聴希望」とし、本文に氏名(ふりがな)、電話番号、勤務先(報道関係の方は社名)、取材申込みの有無、電子メールアドレス(又はFAX番号)、懇親会参加の有無及び領収書の宛名(氏名以外の指定がある場合)をご記載の上、6月8日(金)18:00までに、電子メール又はFAXにてお申し込みください。
・電子メールの場合:hqt-css_atmark_ml.mlit.go.jp
※「_atmark_」を「@」に置き換えてお申し込みください。
・FAXの場合:03-5253-1570
○会場の都合上、座席数に限りがございます(定員:80名(先着順))ので、希望者多数の場合は、事務局より傍聴いただけない旨、6月11日(月)18:00までにご連絡します。
「コワーキングスペースサミット2018」議事録
平成30年6月18日
【土屋企画官】 皆様、お忙しいところ、また、雨の中、足元がお悪い中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日、「「コワーキングスペースサミット2018」~さらなる対流を目指して~」ということで、白鴎大学様、ヤフー様、そして、国土交通省の共催という形で開催させていただきます。
このイベントにつきましては、5月21日にプレスリリースさせていただきましたが、5月31日には100名を超えるぐらいの募集ということで、大変私たち主催者側もびっくりしております。それぐらい、あと、今日登壇される方々も、かなり尖った方にお集まりいただいているというふうに自負しておりますので、多分、いろいろなおもしろい、興味深いお話が聞けるのではないかと考えております。
まず、会合を始めさせていただく前に、何で国土交通省がこんなことをやってるのというふうに多分、疑問に持たれている方も多いと思います。今日、お手元のほうに、いろいろな資料を配付させていただいておりますが、クリップどめになっているこちらの資料を見ていただきたいんですけれども、1枚目にワードの趣旨紙が記載されておりますけれども、もう一枚開いていただきますと、新たな国土形成計画ということで、対流促進型国土の形成というパンフレットを入れております。私たち国土政策局は、平成13年の省庁再編前までは旧国土庁という部署でございまして、全国総合計画、全総というふうに昔はよく略されておりましたけれども、そういった全国の開発計画をこういう形にすればいいんじゃないかというのを取りまとめる部局という位置づけでございました。
省庁再編以降、建設省と運輸省がくっつく中で、やはり総合プランニングがあったほうがいいんじゃないかということで、旧国土庁もくっつきまして、国土交通省ができたという背景のもと、こういった国土計画、こういった国土であればいいなという計画をつくる部署と。それを実際に皆様方に浸透させていただいて、実行していく部隊だと。そういうふうにご理解いただければ、今日のイベントの趣旨はご理解いただけるんじゃないかと。
次のスライドをお願いいたします。今回のキーワード、「対流」でございます。こちらのパンフレットにございますとおり、さまざまな形でいろいろな形で対流を起こせば、国ってよくなるんじゃないかなと。そういった考えのもと、様々な取組を私たち国土交通省のほうで取り組ませていただいております。
今回は、この対流ということを、皆様、頭にまず入れていただきながら、この皆様方、登壇される方のお話を聞いていただければ幸いだというふうに思っております。
それでは、時間も限られておりますので、早速、登壇者の方に登場いただきたいと思います。
では、初めに、今回共催いただいております白鴎大学から、ビジネス開発研究所所長、経営学部教授の小笠原伸先生です。皆様、どうぞ拍手でお迎えください。(拍手)
続きまして、同じく共催いただいておりますヤフー様から、このLODGEの責任者ということで、植田裕司様に登場いただきます。どうぞお入りください。(拍手)
続きまして、今回、福岡からいらしていただいております、コワーキングスペース秘密基地の代表でいらっしゃる岡さん、どうぞお入りください。(拍手)
次に、奈良からいらしていただいております、オフィスキャンプ東吉野を運営されております、合同キャンプのほうから、坂本様です。どうぞ。(拍手)
続きまして、神奈川でBUKATSUDOをされておりますリビタ様から、土山広志様です。どうぞお入りください。(拍手)
次に登壇いただくメビック扇町、大阪の堂野所長ですが、今朝の地震で新幹線が止まっているということで、19時半に来られるかもというご連絡をいただいておりますので、登壇されるまで少々お時間をいただくことになると思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、茨城県結城市でyuinowaに関わられている結城商工会議所の野口純一様です。どうぞ。(拍手)
それでは、最後、大宮のほうからいらしていただきました。コワーキングスペース7Fを運営されている星野邦敏様です。どうぞ。(拍手)
先ほど申しましたように、かなり尖ったメンツだと私は自負しておりますので、どんな議論がされるか大変期待しております。
これ以降は、ファシリテーターの小笠原先生に司会をバトンタッチしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【小笠原教授】 白鴎大学の小笠原でございます。簡単に自己紹介せよということでお話が上がっておりましたので、数分だけお話をしたいと思っております。
なぜここに私が立っているかということで、簡単にご説明申し上げますと、国土形成計画という計画の中に、実はこういう知的な交流空間をどうしていくのかという考え方が入っております。私のほうで、実は数年前になりますが、国土交通省の研究会で、そういう知的な交流空間が確実に必要であると。地方都市をどうしていくのかということを考えようという話を提言した中で、現在の計画の中にも入れ込まれております、地方都市にどういう人々を、そして、知恵を集めていくのか。そのときには、対流という話が先ほどありましたが、熱源が必要であると。じゃ、この対流のための熱源はどこにあるのかということを問うた一つのアウトプットが、このコワーキングスペースという話になってまいります。
その熱源は多数あると思っております。今日はその中の1つであるコワーキングスペースの重要性、さらには課題というところ、そして、大変熱い方々が今日集まっていただいていますので、この方々にご意見を頂戴していきたいというふうに思っております。白鴎大学としても、今回、こういうことをご支援できるということを大変うれしく思っております。
では、本題に入っていきたいと思っております。まずですが、今日のコワーキングスペースの登壇をいただく皆さんに、自己紹介をいただきたいと思っております。
では、順にヤフーの植田様からよろしくお願いいたします。
今日なんですが、私が使わないことを願いながら、こういうチーンを持ってきております。あまり長く話した方には、ということで、ちょっとご着席願いますので、よろしくお伝えしたいというふうに思っております。
【植田部長】 皆さん、初めまして。ヤフーLODGEの運営責任者を行っております植田と申します。
ちなみに今日、初めてLODGEにいらっしゃったという方、どれくらいいらっしゃいますか。結構です。ありがとうございます。じゃ、ここの場所の簡単な紹介の前に、自分の自己紹介をさせていただきます。私は、2007年に大学を卒業した後、新卒でエンジニアとしてヤフーに入社いたしまして、5年間、テレビ向けのサービスをやった後、その後、5年間はYahoo!JAPANアプリというアプリの開発の部長だったり、PMをやらせていただきました。
やっている最中に、このオフィスに引っ越すということが決まって、そこでコワーキングスペースつくるんやという招集が現在の社長からありまして、そこで私のほうがエンジニアの代表として働きやすいオフィスをつくるのを手伝ってくれみたいな感じで呼ばれて、今の仕事についております。
僕、何をやりたいかというと、LODGEを通じて、社内外、ヤフー社員と、ここに来ていただく皆さんの、情報の交差点と書いているんですけれども、今日テーマになっている対流と一緒のワードだと思うんですけれども、ヤフー社員だけじゃなくて、社外の人にも、オープンイノベーションってすごくいい働き方なんだよというのを体験してもらって、知ってもらって、世の中の働き方を変えていきたいなと、そんなことを考えております。
次、お願いします。ほかの方の資料を見たところ、すごくおしゃれなオフィスの写真とか載っていたんですけど、僕、ちょっとここの場所なので、こんな場所です、LODGE。このLODGEの場所で毎日、社外の方が約320人ぐらい平均していらっしゃっていて、先ほど数えたら、累計16万6,000人ぐらいの方がいらっしゃっています。私自身、こういったサービス開発をずっとやってきている中、こういったオフィス設計だったりとか、全然初めてだったもので、大体400坪ぐらいあるんですけれども、この400坪をどこかの特定の領域の分野の人だけ来て埋めるのはちょっと難しいと考えたので、オープンしたときから、千客万来で、ぜひいろいろな人に来てくださいと銘打って呼んだところ、こういった感じで、個人事業主とか大企業所属の方、それ以外に中小企業の方、スタートアップ、自営業、大学生みたいな、こんな感じで、いい感じにバランシングしていて、いろいろな人とこの場所に来るだけで交流することができる、そういった場所になっております。
次、お願いします。いろいろなものが生まれているんですけれども、ちょっとわかりやすいものをご紹介させていただくと、EC DATA TRAFFIC、これは何かといいますと、大阪から東京までこの時間に、例えば、コスメが購入されたというヤフーショッピングだったりとかヤフオクのECのデータをビジュアライズして表現したもので、18階、1つ上のフロアのサイネージで表示しているものです。
これ、何を言いたいかというと、たまたまうちのヤフー社員が土日にこのLODGEに遊びにというか、勉強をしに来ていたら、3Dの開発のスペシャリストとこの場所で出会うんですね。そこで定期的な勉強会をして、そこで自分でスキルを身につけて、自分のもともとデータをビジュアライズで表現するという仕事を受け持っていた、その人の業務に3Dのポイントを入れてリリースした、そういった事例なんですけれども、まさにLODGEでこういうことをやっていきたくて、外の方の知見をうまくヤフー社員に取り入れて、一人一人のアウトプットを、例えば、プラス100万円追加することができたら、このオフィスの中、大体五、六千人いますので、1人100万円追加すると、大体五、六十億の利益を生むんですね。こういったことができるのが、コーポレートコワーキングスペースの醍醐味かなと思いますので、そういったことをやっていきたいと考えております。
オープンイノベーションな働き方、すごくうさん臭いワードなんですけれども、僕、今、実体験して思っているのが、困ったときに臆面もなく人の力を借りられるような働き方だったりですとか、井の中のカワズにならないような働き方を、僕はこのオープンイノベーションの働き方と考えているんですけれども、こういったことをこのLODGEを通じて、ヤフー社員だけじゃなくて、無料で開放していますので、来ていただいている利用者の皆さんにもここで実体験していただいて、オープンイノベーションの働き方というのをインストールしたいなと考えております。
私のほうからは以上です。(拍手)
【岡代表】 皆さん、初めまして。コワーキングスペース秘密基地代表の岡と申します。皆さん、よろしくお願いいたします。
今日は、私の自己紹介からなんですけど、私、もともとキャリアがイギリスのロンドンから始まったんですけど、もともとちょうど17年ぐらい前、5年ぐらい前、シェアハウスをやっていたんですね。自分は大学上がりでそのまま仕事をしたものですから、あまり就職というものを体験していなくて、実は工務店を、アイルランド人の大工たちと一緒に立ち上げました。そこで始めたのがシェアハウスだったんですね。
向こうはワンルームという文化がないものですから、もともとシェアをします。それって学生がお金がないからシェアするんだろうというふうに思うかもしれませんけど、結構普通に、ワンルームがないと、大半の人がそういうところに入ったりするんですね。時々寮制もありますけど、そうじゃない人たちは結構そこに入っています。
シェアハウスってコストダウンみたいな点もあるんですけど、最もおもしろいポイントは何かというと、夜な夜な集まって、ワインをみんなで飲んで、パンを食べる。そうすると、夜な夜ないろいろな課題が出てくるんですね。それに対して、僕は専門が建築設計なんですけど、建築の観点とか、僕の友達は哲学科に通っていました。グラフィックデザイナーもいて、みんなそれぞれの観点からその課題に対していろいろコメントしてくるわけです。そこで生まれるバリューそのものが、今日皆さんお集まりの中で興味を持っているコワーキングの本質だと僕は思っていて、コストダウンとかでは全くないですね。そのバリューのポイント、そこが一番おもしろいところだと言えます。
次をお願いします。これ、雰囲気ですね。これは秘密基地の雰囲気なんですけど、芸人の西野さんとかが遊びに来てくれたり、ちなみに今日、国土交通省なので、国土交通大臣も見学に来てくれたり、いろいろ情報はあります。
これで夜な夜な集まって、ここでこういうふうに、「勇気」って書いてあるんですけど、ファシリテーション講座をやっていて、何をやっているかといったら、理念をあわせようというのをここでやっています。
次のページ、お願いします。これが我々の理念なんですけど、どういうことかというと、かつての旧社会、左側の絵だと思ってください。今、新しいのは右側になろうとしていると私たちは思っています。どういうことか。左側というのは、いわゆる奪う、所有する、成功する。多く所有して、人より多く奪うというのが成功のモデルだったというところから、我々、新しい社会をつくろうということに立っています。それはどういうことかというと、貢献して、新しいパイをつくるというところに立とうということですね。既存のマーケットではなくて、新しいものをつくっちゃおう。そこに立ったときにはみんな持ち合えるよね、貢献できるよねということが言えるんじゃないかと思うので、根本的に形を変えちゃおうということです。
次、お願いします。これは、先ほどの観点の中で、コワーキングスペースの一つのおもしろいところというのは、CSV、Creating Shared Valueといいますけど、共通の価値をどう創造するかというところがうまくある必要があります。そのときに、例えば、まちづくり、地域とかのWin-Winを設計したり、つまりは、個人個人じゃなくて、もっとパブリックなWinをつくったりとか、そういうことまで広がっていきます。なので、これ、僕らがやっているところなんですけど、北九州というところでやっています。ビジネススクールもやっているんですけど、フードフェスティバルとかを始めて、マルシェとかをやっているんですが、大体年間100万人ぐらい集めるイベントをやっていますけど、年間10億円程度の経済効果があるというふうに試算できていますが、こういったものがコワーキングスタートでできるようになりました。この辺、詳しくまたご紹介できればと思います。今日はよろしくお願いいたします。(拍手)
【坂本代表社員】 皆さん、どうもこんばんは。奈良県東吉野村という村から今日は来ているんですけれども、坂本大祐と申します。よろしくお願いします。
まず、経歴なんですけど、ざっくり言うと、デザインを仕事にしておりまして、デザインの前に、さっきの岡さんじゃないですけど、建築の学校を出ているので、一応、建築のデザインからグラフィックとかウェブとか全体的にデザインって名のつくものは全部やるみたいな形で、ずっとやらせてもらっています。
キャリアのスタートが和歌山からなんですね。だから、既に地方からスタートしているという形で、一度も中央に出たこともなく、今もデザインの仕事をずっと続けているんですけれども、活動内容としましては、平成18年、今から12年前なんですけど、12年前に大阪の堺という町から、奈良県東吉野村というところに拠点を移したんです。
当時、移住とかという、今みたいな言葉がなくて、ほんとうにただの引っ越しだったんですけど、いざ引っ越してみた先で、意外とデザインの仕事をずっと続けてやっていけるぞというのが、実体験としてどんどんわかっていって、結果として、ずっと今まで12年間住み続けているという現状です。
その中で、東吉野村にある施設をつくったんです。それが次、オフィスキャンプ東吉野という名前の、シェアとコワーキングのスペースです。こちら、築100年ぐらいの古民家を改装したシェアとコワーキングのスペースなんですけれども、これは、自分が自分の事業でやっているわけではなくて、奈良県、あと、東吉野村と、あと、日本ですね。それこそ国土交通省さんのお金を使って、ここを全て改修して事業を始めています。なので、この施設自体は実は村の事業なんですよ。なので、村マターの事業を我々民間が委託を受けて今運営しているというスタイルで、うちのオフィスキャンプ東吉野は機能しています。
次、お願いします。東吉野はどんな村かといいますと、人口1,700人なんですね。多分、このビルにいてる人のほうが多いんじゃないんですか、おそらく。そのぐらい、すごく少ない。かつ高齢化率54%という、本当に待ったなしの村でやっているんですけれども、オフィスキャンプ東吉野自体は、平成27年に開業しました。今から3年前ですね。事業主体は、先ほど申し上げたとおり東吉野村で、築100年の古民家を改装して、シェアとかコワーキングのスペースにしました。
今、平成30年現在どうなったかといいますと、訪問して下さった方が4,800人いらっしゃるんですね。さっきのLODGEさんの数字からしたら全然すっとこなんですけど、ただ、来ていただいたらわかるんですけれども、ものすごいところなんですよ。土日にバスが走っていないんですよね。土日に走るべきじゃないですか。でも、平日だけなんですよ、走っているのが。そんなところに4,800人、だから、村の人口からしたらダブルスコアどころじゃないんですけど、すごいことになっているわけですよ、村の人から見ても。そういうふうになって、実際に利用者というのは、シェアとコワーキングのスペースを、1日1人500円で使っていただいているんですけれども、これは実際に利用した人の数です。その中から、何と13組26人の方が移住を決めていただいたというような結果が出ております。
これは、ちょうど毎年1回イベントをやっているんですけれども、イベントのときの写真なんですね。大体関西圏の人たちが、ばっと集まってくれるんですけど、このときは薪割りのイベントをやりました。薪を我々は、煙突がついているんですけど、冬場に薪ストーブで暖をとって、暖まるんですけれども、その薪を夏場にみんなで一緒につくりませんかというイベントをやって、ほんとうに関西方面から60人ぐらいの方が集まっていただいてイベントをやるみたいな、そういうことを続けております。
次、お願いします。オープンの翌年に、合同会社オフィスキャンプ、これまたややこしいんですけど、会社をつくったんですね。これは我々が、自分が代表社員になっている会社なんですけれども、東吉野村に登記した会社になっています。かつ、全員移住者のクリエーティブ会社なんですね。要は、オフィスキャンプというシェアとコワーキングのスペースを喜んで使ってくださった方々が、ちょっとずつ移住を決めていっていただいて、例えば、カメラマンとか、エディターとかみたいな形で。その人たちを集めて会社にしちゃったというのが今の現状です。
今、その会社に、結構いろいろなところから依頼が来ていまして、直近で言えば、長野県の小谷村というところの仕事をさせていただいたりだとか、もちろん奈良県下の仕事はほんとうにたくさんやらせていただいていて、行政さんの仕事が7割8割ぐらいで、その中でも、移住にまつわる仕事というのをなるべくやってくださいよというような形で、我々に依頼が来ているとか、大きいところでいうと、環境省さんのお仕事をいただいたりとか、そのエリアに住んでいる人にやってほしいんだというオファーがありまして、たまたま我々がそういう旗を上げていたもので、そういう形で仕事が始まったりとか、なので、今までだったら、地方から中央に流れていたクリエーティブな仕事が、今、地方から地方で受け取れるような状況に、オフィスキャンプという場を通じて、現状、なっていっているという、そういう今、目の前で起こっている出来事を今日いろいろとお話できたらと思っています。よろしくお願いいたします。(拍手)
【土山部長】 皆様、こんばんは。株式会社リビタの土山でございます。
リビタという会社は、京王電鉄グループの不動産会社でございまして、いわゆる既存住宅の再生、リノベーションですね。そちらを行う会社でございます。
本日は、コワーキングサミットということなんですけれども、我々としては、不動産プレーヤーの立場から、コワーキングというような働く場のあり方というところをご紹介したいかなと思っております。
私のご紹介、簡単に載せております。私は、もともとデベロッパー出身でございまして、前のパネルにありますように、新築の分譲マンションですとか、大規模マンション、タワーマンションというのをものすごくいっぱいつくっておりました。そんな中、基本的に大規模マンション等に関わることがすごく多くございまして、どうやらやっぱりつくり続けることについて後ろめたさをだんだんと感じてきたところもありまして、そんな中で、2008年になりますけれども、ストック型社会の到来を感じたというところもあって、不動産のリノベーション、リビタのほうに転職しております。
リビタに来てからの活動は、お手元に資料があるかと思いますので、簡単にしか申しませんけれども、先ほど岡さんがおっしゃっていたようなシェアハウスの運営、私どもとしては「SHARE PLACE」というようなブランドでやっておりますけれども、シェア型賃貸住宅の企画・運営・PR業務をずっとやっておりました。
本日、これからご紹介させていただくようなコワーキングスペースについては、シェア運営のあり方の中での延長線上という立場でご紹介しようと思います。
次、お願いします。いろいろな施設の運営をやっておりますが、本日、こちらを、メーンにご紹介しようと思っております。横浜のみなとみらいにありますBUKATSUDOという施設がございます。行ったことあるという方、いらっしゃいますか。ありがとうございます。こちらは、こちらのシートにありますように、ランドマークタワーが、大きなオフィスビルがございまして、そちらの足元に、昔の三菱グループが持っていました造船ドックがございました。こちら、国の重要文化財にもなっているんですけれども、当初、みなとみらいの開発を行う際に、この造船ドックを残すというところで開発が行われまして、その中で附属的にB2フロア、B1フロアという、商業フロアをつくったんですね。そういった中で、十数年、こちらを商業テナント空間として三菱グループさんが運営されていたんですけれども、もともとの始まりがドックを残すことということもありましたので、地下にありまして、非常に動線が悪いというところで、はっきり言ってしまうと、あまりうまく回っていなかったテナント空間でございます。そちらをやはり横浜市を代表する横浜のエリアの、重要文化財の脇のスペースが残念な状態になっているわけにもいかないというところでの、公民連携プロジェクトが立ち上がりまして、そちらに我々がエントリーさせていただいたというのが始まりでございます。
僕らのコンセプトといたしましては、非常に行きにくい、わかりにくいところであるならば、大人が目的性を持って行く場所、動機をつくるというところで、昔の部活、部室というようなコンセプトの中で、BUKATSUDOという施設をつくっております。
我々のこちらの思いはここに書いてあるんですけれども、BUKATSUDOのドウ、DOとも読めますし、あるいは堂、つどうとも読めますし、あと、動くとか道とか、今日、土屋さんは剣道の達人ということなんですけれども、柔道、剣道という、動く、極めるという道というのもドウと読めます。そういった中で、人々が集まる中でのいろいろな対流、今回は対流というところがテーマでございますが、それを私どもの表現で部活というところでの表現をしております。
どんな部活というところでは、次のシートをお願いします。いろいろな活動をしてきているわけなんですけれども、本日参加の方々のご経歴とか、すごく多彩なもんですから、我々はぺたっと日常的な感じであえて持ってきているんですけれども、もともとシェアハウスの運営をやってきたというところの中での共用のキッチンの中で取り巻く共用のあり方、共創価値みたいなものをすごく僕らはずっと建物の中で見たきたというところの中で、それを町に展開するとどうなるんだろうというところで、シェアスペース事業を始めたというところでありますので、こういったように、食を通じたコミュニケーションというところをわりと、人と人が繋がる最初のきっかけとして用いるようにしております。先ほど岡さんのお話がありましたような、食は立場を超えられますので、そういった中で、やはりどんなエキスパートの方々がいらしたとしても、最初のファーストコンタクトですとか、いかに緩くつながる最初の接点を持つかというところを工夫しているということでございます。後ほどそんな話になれば、またご紹介します。
そんなシェアスペースBUKATSUDOのほか、我々のほうで直営施設、僕ら、コワーキングスペースってあまり言っていなくて、ワークラウンジというような言い方をしております。そういったものをこういった左の上でやっていたり、あと、これから結城の野口さんのお話、yuinowaという施設のお手伝いをしたりとか、あと、大規模オフィスビル、浜松町ビルディングのお手伝いをしたりとか、あとは直営のホテル等々をたくさんやっております。今日はそんな不動産の立場から会話に参加したいと思っておりますので、よろしくお願いします。(拍手)
【野口係長】 改めまして、皆さん、こんばんは。茨城県結城市から来ました、結城商工会議所の野口と申します。
まずは、私の簡単な自己紹介からということで、私は、最初から商工会議所の職員だったわけではなくて、前職はアパレル業界にいて、自分で将来、洋服屋をやりたいなということで、アパレル業界に入ります。簡単に言うとドロップアウトしまして、こういう業界の労働環境に人生設計が合わないというところから、そういった真っ当な労働環境を求めて商工会議所に入るわけなんですが、そんなところがきっかけで、商工会議所というところは地域の経済団体、地域振興というのが職務の一つですので、そんな中で、結城商工会議所の事務局の中に、三セクのまちづくり会社、TMO結城があるんですが、そこの担当になるんですね。そんな担当をきっかけに、若い人と繋がるきっかけがたくさんありました。
そんな中で、地元の飯野君という1級建築士、彼と出会うことで、結城というところはもともと結城紬で有名な、歴史と文化の今もなお息づく非常に趣のある町でして、その町なかを活用して、若い人はどんどん都心のほうに流出していますので、そういった流出も防ぐために、何か活動を起こしたいということで、このまちづくり会社のソフト事業を使って何か事を起こそうというのが全ての始まりで、結いプロジェクトというプロジェクトを立ち上げました。
それが2010年で、ちょうど8年前、始まりまして、そんな中で、結いプロジェクトというのは、結いの精神、相互扶助だったり、あと、結いという言葉からたくさん連想される繋がりや広がり、そんなところから若い人たちとたくさん繋がって、まちおこしをどんどん行っていこうというところの理念で活動をしております。
メンバーは、建築士だったり、若手の公務員、グラフィックデザイナーとか、結城紬ならではの結城紬の織り子さんとか、産地問屋に勤める若いスタッフなど、そんな若いメンバーが集っておりまして、日々、それぞれのスキルを、活動しながら結城でまちおこしの活動をやっております。
そんな中で代表的なイベントが、ものづくりのお祭り「結い市」、これ、毎年10月に1回やっているんですが、結城の町の古い建物、酒、みそ、しょうゆ、そういった蔵だったりとか、結城紬の産地問屋さん、あと、町のシャッター通りがどんどん進んでいますので、そんなシャッターの閉まっている店舗も活用しまして、町なか全体を使ったマルシェですね。よくマルシェというと、広場にテントを並べてやるんですが、結いプロジェクトがやる結い市は、町を全部使って、そういった遊休物件を出店会場に見立てて、自然と来た人たち、来訪者が町なかを回遊するような仕組みをやりました。
そんなところで、地域に根差した、潜在的な地域の魅力だったり、新しい地域の価値観を提案するようなことに取り組んできて、そんな動きの中で、地元の期待感だったり、あと、外からの結城のこれからの発信力のあるというところで、離れていた若者がどんどん集ってきております。
そんなところで、町なかの結い市という活動をきっかけに、町なかのフェス「結いのおと」だったり、ハード事業にも着手したり、あとは、結い市って、作家さん、かなり繋がりがありますので、町なかにアートののれんを掲げて、これも地域のPRの活動の一環として「結い暖簾」、あと、商工会議所ですので、創業支援の事業にも着手しております。そんな新しい働き方や暮らし方をみんなと一緒に考える「むすぶしごとLAB.」、あとは、その発展形ですね。城プロジェクトというプロジェクトもやっております。
そんな地域資源やそれぞれの地元のライフスタイルに根差した小さな経済活動から、たくさんのコミュニティーが生まれてきました。そんなコミュニティーが生まれたときから、ようやく場所が必要になってきたということで、よくコワーキングスペースを建てるには、箱物をつくってから、人をどうやって集めようという動きが主流になってくるのですが、結城の場合は、非常に8年間、場づくりをやってきたところで拠点が必要になった、そういったところで、ようやく機が熟したところと、こういう地方創生の取組で、役所のほうから委託を受けて、yuinowaというコワーキングシェアスペースが生まれたわけです。コワーキングスペースは、情報交換だったり、発信の場ですね。いろいろ土壌づくりをやってきましたので、そんな若い人たちが結城というローカルエリアでも常に発信できる土壌づくりを様々行ってきまして、チャレンジショップ、チャレンジキッチンなども併設しながら、そういった場づくりを行っております。
次、お願いします。場所の雰囲気ということで、これ、築87年の古民家をリノベーションして、行いました。呉服屋さんですね。そんな結城らしい建物を使うということで、建物の活用方法も皆さんにPRしながら、結城をどんどん使う、まちづくり、場所としての可能性を見出すということで、どんどん活動をしております。
済みません、ちょっとオーバーしましたが、以上になります。
【星野代表取締役】 皆さん、初めまして。僕も長く話しがちなので、ストップウォッチを持ちながら話したいと思います。よろしくお願いします。4分ということですので、よろしくお願いします。
星野邦敏といいます。埼玉県さいたま市の大宮から来ました。経歴ということなんですが、私は大学を2001年に卒業しまして、その後ずっと自宅にひきこもっていました。ずっと自宅の部屋の壁を見ているという、あとは「笑っていいとも!」を1日3回見たりとかして、過ごしていました。
このままだとまずいなと思って、税理士法人に勤めまして、これはサラリーマンで勤めたんですけど、税理士になろうかなと思ったんですが、たまたま運営していた受験生サイトのインターネット広告収入がすごく増えまして、それで会社をつくることになりました。初めは東京でずっとITの会社を経営していたんですけど、生まれ育ちが埼玉県のさいたま市なもので、2012年、当時のコワーキングスペースというのは非常に早いタイミングだったと思うんですが、コワーキングスペース7Fというのを始めました。今は3フロアになりまして、こんなに増えると思わなかったので、7階にあったので7Fにしたんですけど、3フロアを運営しています。
その他に、ここはヤフーということで、大宮経済新聞というインターネットメディア媒体を運営していまして、Yahoo!ニュースなどにもコンテンツを配信しています。その他には、私、後でお話しできればと思うんですけど、一般社団法人コワーキングスペース協会という協会の代表理事を務めさせていただいたりとか、あとは埼玉県産の農作物を農家さんの思いとともに定期販売するビジネスと、あとは、障害者がつくるクッキーの販売をするというNPO法人などもしています。
次にお願いします。私たちの運営しているコワーキングスペースは、埼玉県さいたま市の大宮駅から徒歩1分の場所にあります。朝7時から夜23時まで、3フロア全て合わせて大体480平米の空間を運営しています。ですから、140坪ぐらいですかね、運営しています。従業員数が、今、32名で運営しています。月間延べ利用者数が約6,000人で、このコワーキングスペースの利用が大体120人で、8階と6階にこういう会議室と、あと、6階にシェアオフィスがありますので、全部合わせて大体6,000人ぐらい来ているので、今日お配りしたパンフレットとかを見ればわかると思うんですけど、私たちは完全に民間企業でやっているので、月商で言うと600万から700万ぐらいなので、年商で言うと7,000万ぐらいの空間を運営しています。
私たちのやっていることは、切り口として、東京だといろいろあると思うんですけど、埼玉県のさいたま市という地域に根づいた活動をしています。ですから、例えば東京だと、クリエーターのためのとか、建築士のためのコワーキングスペースとかがあると思うんですけど、さいたま市は結構大きなまち、人口129万人のまちですけど、それでもやはり地方都市ですので、そういったまちで活動していますので、コワーキングスペースのほうでは、産業をつくって、仕事をつくって、売り上げを上げて、雇用を生んで、人が住むところまで、そのほかにまちのイベントですね。これは商店街を貸し切っているんですけど、これも要は、先ほど岡さんが話した箇所でもあったとおりで、私たちのコワーキングスペース発でこういうふうに場所を貸し切って、警察とかに言って、こういう場所をとめたりとかしてお祭りをやったりとか、あと、大宮だと、大宮アルディージャというサッカーチームがあるので、そこのパブリックビューイングをやってみたりとか、これなんか多分300万ぐらいかかっているんですけど、そういうようなイベントをやってみたりとかしています。
ですので、人が根づいてから人が動くというところを、コワーキングスペースじゃなくて、大宮経済新聞とか、あとは一般社団法人さいたま市地域活性化協議会というのをやっているんですけど、そういったもので活動しています。
これが最後なんですが、そのような、僕たちは埼玉県のさいたま市に特化しているので、他の地域は私がやるものではないので、全国展開するよりは、各地のコワーキングスペースの人たちがどのようなことをやっているか、私も6年、コワーキングスペースをやっていると、潰れてしまったところも結構多いので、そうならないように、あと、コワーキングスペースの運営者は結構孤独な場合が、特に個店の場合は多いので、その人たちが集まるような勉強会を、コワーキングスペース運営者勉強会というのを、大体毎月開催して、もう50回ぐらいやっています。もともと任意参加でやっていたんですけど、今は一般社団法人化して、結構毎月やるようにしていて、来週はたしか森永製菓さんがコワーキングスペースを田町につくられたので、そこでやったりとかしていて、こうやってどちらかというと、コワーキングスペースのそれぞれの悩み事とかを共有できる場所とかも運営しています。
今日は対流拠点ということだったので、私は埼玉県さいたま市から来たので、埼玉県さいたま市の事例を多く話せればと思っています。よろしくお願いいたします。(拍手)
【小笠原教授】 ありがとうございます。皆様のご協力で、順調に議事が進んでいるというところがあると思います。
さて、早速なんですが、議論に入っていきましょう。パネルディスカッションに進んでいこうと思うんですが、今日の最初のテーマというのが、対流でございます。先ほど土屋企画官からもお話がありましたが、この場というのは、対流を起こすために何ができるか、どうすべきかという話をしております。この中で、我々がどのように取り組んでいくといいのか、そして、今日、コワーキングスペースの経営者、運営者の方においでいただいているというところがあるんですが、その現場でどういった課題を有しているのかと。経営をしている方々だからこそ感じていることを、まずはお話を順にいただきたいかなと思っております。
お一人大体2分前後ぐらいでまとめていただけると、大変ありがたいと思います。ここで押してしまいますと、終わりがどんどん夜に進んでいきますので、ご協力いただければと思います。
それでは、ヤフーの植田さんからお願いいたします。
【植田部長】 対流を起こしている現場での具体的な取組、まず、すごく具体的なお話というところをさせていただくと、ヤフー社員、このビルの中に五、六千人いるので、その人と、来ていただいた利用者の皆さんを繋げないといけないなという中で、ただ箱物をつくるだけだと繋がらないなと思っているので、私たちの場所では、コミュニケーターという役割を置いております。これはヤフー社員がやっていて、今、もしかしたらその辺にいるかもしれませんが、コミュニケーターが、来ている人たちにお声がけをして、どんな仕事をやっているかとか聞くんですね。
これだけだったら多分、ほかの企業さんとかでも、コーポレートコワークをつくってもできると思うんですけれども、もう一つうちの会社でユニークなのは、社内システムでMYMというメッセージツール、チャットのような、Slackのようなものがあるんですね。それが全社員に普及しているというところがすごく強くて、例えば、コミュニケーターの方が歩いて、こんな人いますよというのを、このツールを使って問いかけると、何千人にポストできて、ちょっと話を聞いてみたいとか、ちょっとそういった人と僕、話してみたかったんだという人をすぐここの場所に連れてきて、そこで交流が生まれるような、そういった人を置くというところと、そういったツールを使って対流というのを生んでいるのかなと思っております。
あとは、毎週水曜日にお茶会みたいなのを、ブレークタイムLODGEと名づけて、キッチンでスタッフのみんなが実際にお茶会とかをやっていて、そこで来ている利用者同士とヤフー社員を繋げるような、そういった具体的な取組をやっているんですね。
こういった小さな取組なんですけれども、ヤフーの会社の中でやるというところなので、小さな取組でも、この五、六千人でそれを広げていくと、大きな車輪になって、すごくスケールしていくのかなと思っておりますので、僕らはそういったところからまず始めております。
ここの場所は無料で誰でも使えるので、やっぱりフリーライドの方がいらっしゃるんですよね。インフラとしてネットワークが整って、電源が整っている、そういったフリーライドで使っている人も、まず、コミュニケーションをとることによって、もしかしたらこの人はヤフーの仕事を手伝ってくれるフリーランスの方かもしれないと。そういったところから会話すると、急に価値ある利用者の方になるので、まずは本当に、会話から、その会話がもしかしたらいつかはヤフーの事業に大きく貢献する、そういったところを信じて、私たちは活動をしております。
以上です。
【小笠原教授】 ありがとうございます。オープンイノベーションという話がかなり具体的に聞こえてきてよかったかなと思うのと、お茶会というのは大変なんですよね、意外にちゃんとやるのは。あれ、なかなか人を繋げていくのは難しいと。後の時間があったらぜひ具体的に聞いていきたいかなと思っております。
では次、岡さん、お願いします。
【岡代表】 先ほどお茶会という話があったんですけど、秘密基地の場合は、スナック秘密基地というのがありまして、毎週金曜日、結構にぎわうんですね。まあ、どうでしょう。平日にもかかわらず、30人とか40人とか来てくれたりします。もっと多いときはもっと多いんですけど、毎週やっています。
そういうことを何でやるのかというと、いきなりビジネスの話というのは難しいですよね。なぜなら、基本的に異業種、全く文化も違うし、言語も違うみたいな状態で来ると。そうすると、まず、関係性をしっかり構築するということが第1段階、すごく重要になることなんですね。関係性ができてから、やっとビジネスの話に至るわけであって、そうしないと、よくあるパターンですけど、皆さんご経験済みだと思いますけど、名刺交換したって、全然イノベーションなんか起きないというのはよくありますよね。それは何でできないのかというと、関係性ができていないからできないわけで、でも、友達には気楽に相談するじゃないですか。この違いですね。
ですから、それを専門的にやるということは、コワーキングスペース運営の中ですごく重要なことだと思っていまして、対流の前に関係性をどう構築するか、その専門家というものがコワーキングスペースには必ず必要なので、箱物だけで考えているルートで行っている人というのは、本当にシェアオフィス化しちゃったりして、シェアオフィスもビジネスにはなりますけど、バリューがぐんと伸びたりとかということはあまりないと思います。そこが分かれ道かなというふうに思ったりしています。
【小笠原教授】 大変面白いですね。名刺交換はだめというのは非常に同感で、最近だと、仲よくなったら、すぐフェイスブックに行きますよね。逆に名刺交換で終わると、そこまでの人なんだなという話になったりもしかねないので、今日はずばずばこういう話をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では、お願いします。
【坂本代表社員】 オフィスキャンプでも、実はコーヒースタンドというのがありまして、ちょっと写真には出ていないんですけれども、立ちながらコーヒーを飲めるカウンターを、今、写真で写っているコワーキングの反対側に持っているんですよ。コワーキングは、基本的には、皆さん個人の仕事をやられに来るので、ラップトップを広げてパチパチやっていると。そういうところにいきなり話しかけに行ったりはできないもんですから、コーヒースタンドにコーヒーを頼みに来られるタイミングというのは、要はちょっと息抜きしたいとか、そういうタイミングなので、そのときに自分がお話を伺って、どういう人がどういうふうな思いで来ているのかというのをある程度酌み取って、かつ、周辺の事業者さんとも、自分はもう12年も住んでおり、繋がりがあるので、その中で欠けているピース同士である場合に、間をつないで、実際の仕事が生まれるというケースもございますし、なので、話しかけられるタイミングをつくれるという意味で、コーヒースタンド、お茶を飲む場所と雑談ができるスペースというのはすごく大事だなと思っていまして、コワーキングというのは、基本的には働きに来る場所なので、そうではない時間帯を自分は今、欲しているんだというアピールをしてもらうための場として、すごく有用だなと思っています。
【小笠原教授】 今日は、私、お話を伺っていて、すごいなと思うのは、キラーワードがきら星のごとく出てくると。会場の皆さんとネットで聞いている皆さんは、多分、非常に今日はおいしい1日だなと思うわけですが、雑談力というのが、今、どうも世間でもブームになってはきているんですが、実際のところ、雑談力というのを身につける人をあまり見たことがないんですよね。生まれついての雑談力の持ち主か、永遠に持てないままという方か、どちらかになってしまうと思うんですが、どうやってそこをカットインしていくんですか。
【坂本代表社員】 そうですね、やっぱり基本的に向き不向きは絶対あると思うんですよ、人の中で。自分もそうなんですけど、デザインとか編集の仕事をしている人間は、やはり興味を持っているというか、好奇心が多いんだと思っているんですよ。そういう人間がまず人となりを聞く。やっぱり無理無理やらせるという、無理無理つけるスキルでもないのかなというのは正直思っていて、なので、適任者にやっていただくというふうに考えるほうが、自分はいいのかなと思っています。
【小笠原教授】 多分、坂本さんもそうで、私もそうなんですけれども、多分、こっちの前に、テーブルに出ている方はこの能力を「うんうん」って聞けるんですよ。ただ、多分、今、全国のこれを見ている方と、会場の3分の1ぐらいの方が、「あー」って今、引いている瞬間がちょっと見えるんですね(笑)。多分、このあたりがコワーキングスペースの一つの魅力であり、一般の方々がなかなか手を出しにくいところかなというのも感じたりするところなんですね。
【坂本代表社員】 おっしゃるとおりですね。でも、どういう人材かというのが、ある程度目星がついているという意味では、そういう人材を何とか見つけてくるというか、編集とかライティングができるとか、場合によってはデザインができるみたいなタイプの人が、一定向いているような気が自分はしています。
【小笠原教授】 社会への興味ですよね。他者への興味、社会への興味というところ。
【坂本代表社員】 おっしゃるとおりですね。
【小笠原教授】 よくわかりますね。多分、ここのところが今、すごく大きなポイントであがってきたのかなと思って伺ったものですから。ありがとうございます。
では、次、よろしいでしょうか。
【土山部長】 私どもの場合は、今、お三方のお話、共感するところと、そうだねというところ、あったりするんですけれども、ちょっと違う視点から言ったほうが面白いかなと思って言うんですけれども、我々、先ほどご紹介したように、シェアハウスの運営をやっています。結構50室とか、多いのは100室以上とかいうようなところであると、我々の稼働のポイントとしては、やはり人が交流する場で、目立つ人は目立つんですよね。その中のコミュニティー弱者というか、ちょっと後ろにいらっしゃる方々にどうさりげなくサポートできるかが鍵になってくることがあります。黙っている方もいらっしゃいますが、すごくいい知見を持っていらっしゃったりする方を引き出すために我々はチーム運営をしておりますので、昔の合コンみたいな感じですね。1人、つまらない顔をしている人がいると、全体の場がうまくいかないことがあるじゃないですか。「うんうん」って言っていますけど(笑)。そういった方を拾い上げていくために、僕が司令塔になって、おまえ行けというような配置をします。そういった中で、いかに拾い上げて、その方の個性を出してひっかかるような、例えば、出身が僕、富山だ、富山、あの人いたねというような、そういった受け止めをすることによって、全体がいい感じになるということはよくあります。そういった方は、基本的には皆さん交流したいと思っていらっしゃるような前提の中で、若干の声が大きい人が目立ってしまっている状況をどうやって上に上げていくかというところの中で、言い方が正しいかわからないですけど、弱者対策というようなことに気をつけているようにしております。
【小笠原教授】 今日はすごいですね。私の想像以上に今、すごい言葉が飛んで、驚いているんですが、コミュニティー弱者という話がここで出てくるとはちょっと思わなかった。でも、あると思うんですね。ずっと通っているんだけど、結局、そこで話もできずに、ちょっとやりたいんだけど行けずに、でも、それって多分、コミュニティーをつくっている側からすると、そこに声をかけていく。この人、面白いことできるんじゃないかと。そういうところから引き込んでいく能力ってやっぱりすごく大事だと思うんです。
ちなみにこれ、土山さんはそういうのをやっぱり積極的にやられるほうなんですか。
【土山部長】 僕はそんなに人が好きじゃないんで(笑)、傍らで見て指示を出すのが好きなタイプでして、いつもそうしているんですけど、こういったコミュニティーという仕事をやっていると、パーティーピーポーみたいな感じでやっているんですけど(笑)、やはりそこをちょっと俯瞰した中での、俯瞰した面白さがあるので、そういった方が、目立つ人は目立つので、そうじゃない方がすごく誰かと仲よくなって、何かが生まれるような、顔が変わる瞬間が楽しいというような、それが運営者のポジションとしては大事なのかなというふうに思っております。
【小笠原教授】 コミュニティーという話がやっぱり出てくるというところなんですね。多分これ、私の勝手な思い込みなんですが、世話焼きであるというのは、コミュニティーをつくっていくときにはすごく必要なのかな。おせっかいと言ってもいいと。今、社会ではどうしても、おせっかいが嫌がられるところがあるんですよね。でも、現実的には、そういう人を繋ぎ直さなくてはいけなくなってきているというのが、多分、コワーキングスペースの話が国土交通省で扱っている、熱源をもう一回というのは、燃料はあるぞと。それをどうもう一回くべ直すのかという話にも繋がってくるんじゃないかなと思って、今、伺っていたところであります。
では、次、お願いします。
【野口係長】 yuinowaなんですが、yuinowa、今まで結いプロジェクトの活動をしてきて、いろいろ多彩な外からの交流人口は増えてきています。その中で、私、商工会議所という立場ですので、創業だったり、何かチャレンジしたいという人たちがいるんですね。今まで商工会議所だと、どうしても堅いというイメージがあって、なかなかそこに来ていただける方がいない。ただ、ようやくyuinowaという場所ができたので、そこに気軽に来て、まずは自分が事を起こしてみたいことだったり、そんな気軽に相談する場が生まれたなと思っています。
実際にこのコワーキングを利用されているメンバーは、結いプロジェクトのメンバーが非常に多くて、建築士だったり、カメラマンだったり、グラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、そんな結構フリーランスでしている人たちがたくさんいるので、そういう人たちと繋いで、実際に結城の町なかの遊休物件だったり、そんな不動産の事業者って、結城の中心市街地にはあまり価値がないので、やりたがらないですよね。それを町なかの僕らのような人間がそこに入っていって、ちょうど中間人材という役割を、借り主、希望者と家主の中間人材になってあげながら、本当に先ほど先生がおっしゃったような、おせっかいで最後まで、入り口の相談から実際に事業計画だったり、そこで足りないものをyuinowaに来ている人材と一緒にプロジェクトを起こしながら、最後の創業という後押しまで行くと。そこから先の伴走型というのも、我々商工会議所の人間だったり、いろいろ人材がそろっていますので、気軽にそういう相談だったりとか、何か事を起こしたいような、そういった土壌が非常にyuinowaという場所を使って生まれているなというところは感じております。
【小笠原教授】 ありがとうございます。多分、ここの中で結城市のyuinowaさんが、市役所と商工会議所の肝いりでというふうになっているところが大きいとは思うんですけれども……。
【野口係長】 そうですね。
【小笠原教授】 その中で、先ほどからのやっぱり不動産みたいな話、町なかに人が来なくなって、不動産もどんどん遊休化してきていると。そういうときにどうやって、かたいとか、そういうところからの、先ほどのここの場で言っている対流のところまで持ってくるというのは、振れ幅が随分出づらいと思うんですけれども、そのあたりのご苦労というのは何かありましたか。
【野口係長】 やはり自分たちが町の中をどう動かしたいかというのを、町なかのソフト事業とか、さっき言った結い市だったらyuinowaというところで、町なかでいろいろなヒップホップのラッパーとかが来てライブをやったりとか、非常に柔軟に町なかを使えるというところを実際に見て体感してもらって、来た人たちとかがそれを発信することで、結城ってわりとそういった特化したこともできるんじゃないかと。何でもできる町というような期待感が少しずつ生まれてきて、そこに公共的な部分は、うまくサポートする側として、何か期待として使ってもらえればいいかなという。そこに民間の人たちが絡みながら、非常に面白い動きができるというのは、今の結城ならではだなというところを徐々に今までの動きの中から感じ取ってもらえたのかなと思っています。
【小笠原教授】 今、いいワードが出てまいりまして、使うという話なんですよね。町なかをとか、古い施設をとか、今あって報われないものをどうやって使っていくのかと。多分、この部分が大変各所が苦手なんだろうと。それは日本の地方全体にも当てはまることで、もうこれはだめだと。こんなものはあかんと。私、実はyuinowaさんの、当初のころからお手伝い、ちょっと白鴎大学でしてきたところがありますので、関わってきたんですが、確かに大変でしたよね。
【野口係長】 そうですね。
【小笠原教授】 こんなもの使えるのかというものを使いこなしていったのが、コワーキングスペース立ち上げまでのプロセスを拝見していて、大変なご苦労があったろうなと思っていたんですが、使うという言葉に凝縮されていますけど、大変でしたよね、あれね。
【野口係長】 そうですね。立ち上げまではいろいろ大人の人たちを動かしたりとか、いろいろな仕組みづくりとか、そういった部分も大変だったところはあるんですけど、実際にここを動かした人たちがみんな楽しみながらやっていたので、それがきちんと周りの人に伝わって、自分たちもこういったものに活用方法を見出せるんじゃないかというような、そういった楽しみの熱量が伝わっていくような、そんな発信の拠点になったと思っています。
【小笠原教授】 今出ましたね。大人の人というキラーワードが出てまいりました。大変これは全国の方には参考になる部分かなというふうに思いました。
では、最後、星野さん、一言いただけますでしょうか。
【星野代表取締役】 対流を起こしている現場でどのような取組というところで、私たち6年やっていますので、それぞれのときのフェーズによってやっていることがちょっと違うんですけど、例えば今ですと、システム的にやっているところと属人的にやっているところがありまして、まず、月額の会員になるのに、僕たちは必ず初めに面談をしています。その人がどういうことをしていて、どういうことを求めていて、今後どうなっていきたいのか。例えば、投資を受けて東京に行きたいですという人もいれば、いやいや、埼玉でずっとこういうことでやっていきたいんですよという人もいますし、これから起業する人もいれば、起業したての人もいれば、長年フリーランスをやっている人もいれば、大手企業に勤めているんだけど、何かしたくて、たまたま住まいが大宮だという人もいるので、そういった、何をしたいかというのを、まず初めの月額の会員の面談で聞きます。場合によっては、うちじゃないんですかねと言って断る場合もあるんですけど、そういう人は50人に1人ぐらいで、基本的には会員になっていただいて、今、アクティブユーザーが120人ぐらいで、6年間やっているので、今までだと、500人ぐらいいるのかな。いるんですけれども、そういったやっている人の話をまず初めに聞きます。
属人的にやっているところとしては、スタッフが32名いて、学生のアルバイトも多いので、そういった人たちが受付仕事にならないように、例えば、今日も4人ぐらい連れてきているんですかね。後ろにいるのが、うちのスタッフ、4人いるんですけど、例えば、学生のスタッフでもこういうところに連れてきたりとか、先々週は青森県に呼ばれて、青森県の三戸町に行ってきたんですけど、そういったところにもスタッフを会社負担で連れていくなどしています。そういったことをすることで、利用者さんとのコミュニケーションや交流を促すというようなことをしています。
今、会員が120人ぐらいいるので、昔の三、四十人の頃だったら、その場でリアルタイムでできたんですけど、今、すごくスペースに人が多過ぎるので、左のとかもそうですけど、これですら多分、3年ぐらい前の写真だと思うので、座る場所もちょっとというときがたまにあるんですよ。なので、こういう状況になってしまうと、もはやイベントとか、下の会議室は私たちの空間なので、そこでイベントをやりますと。昔は利用者さん交流会というので、ふんわりしたテーマでもよかったんですけど、今、どういうことをしているかというと、例えば、昨日だったら、大宮経済新聞1,000記事記念とかをやったりとか、あとは、特定のiPhoneアプリをつくっている人が何か本を出版したので、出版記念パーティーとか、何かしらテーマを決めて、それで交流会を平均して月に1回やったりとか、ランチ会をやったりとか、英語で話そうランチ会とか、なるべくテーマを決めてやるように今はしています。
だから、外でもいろいろやっているんですけど、コワーキングスペース内だと、そのような形で運営しています。
【小笠原教授】 多分、今日、会場の中で、自分たちもコワーキングスペースをやってみたいという方が茫然と今お聞きになっているんじゃないかなと思うんですね。というのは、実は今の星野さんのお話を聞いていて、あ、これ、メンターだなと思ったんですね。
【星野代表取締役】 そうですね。メンターです。
【小笠原教授】 多分、星野さん、大宮で皆さんのお父さんなんですよ、きっと。
【星野代表取締役】 そうですね(笑)。
【小笠原教授】 手元に来る作業者の方々のお父さんとして多分活動していらっしゃると。ただ、それだけの覚悟がやっぱりないと、これは大変なんだなというのが、今、非常にいい言葉がたくさん出てきたものですから、だからこそ今、これだけの利用者が集まっているのかなというのもあるんですね。
ちなみに、星野さん以外で、利用者の状況というのがケアできる方というのはどれぐらいいるもんなんですか。
【星野代表取締役】 店長の船底がいます。
【小笠原教授】 ええ。
【星野代表取締役】 うちのスタッフだったら、大体大丈夫だと思います。
【小笠原教授】 すごいですね。実はツイッターなんかを拝見していると、星野さんの人材育成のご苦労がツイッターでわーっと出てくるので、僕、いつも拝見して、見ているんですが、やっぱりそこの部分かなと思うんですね。そういうことができる人を地域に増やしていくと。
【星野代表取締役】 そうです。
【小笠原教授】 というところがやっぱり一つの課題になるのかなというところも……。
【星野代表取締役】 そうですね、コワーキングスペースの協会とかをやっていても、今まで50回勉強会をやっていて、それぞれいろいろなコワーキングスペースを回っていて、今まで200拠点ぐらいのコワーキングスペースに参加いただいているんですけど、勉強会、数えたら。やっぱりそういうことができないところは、この6年で潰れているような気もするので、やっぱりそういうところで利用者さんがある程度、コアな利用者さんがついていかないと、厳しいのかなというふうに思っています。
【小笠原教授】 ありがとうございます。
ここでほんとうは堂野さんが入ってくるところなんですが、堂野さんはまだご到着ではないですよね。
【土屋企画官】 今いらっしゃいました。
【小笠原教授】 じゃ、皆さん、拍手でお出迎え下さい。大阪から、堂野所長、ご到着でございます。(拍手)
【土屋企画官】 どうぞ、堂野所長。
【小笠原教授】 お待ちしておりました。一番前のほうで。(拍手)
【堂野所長】 済みません、遅くなりました。今日、朝から大きな地震に見舞われて、特に僕ら、震源にすごく近かったので、家の中ぐちゃぐちゃの人も中にはいるんですけど、幸い僕はほとんど、ちょっと物が落ちてきた程度で助かりました。ただ、交通機関がまだ止まっていますので、何とか来ました。
それで、僕自身は、多分今日皆さん、民間のコワーキングの方が多いと思うんですけど、大阪市が設置した公設、僕らは一応、昔は外郭団体だったんですけど、ちょっと市長が厳しい市長になってからは、外郭団体もみんな民間扱いということで、毎年プロポーザルでこの事業を確保しているという現状でやってきました。
ただ、2003年の設立当初からずっと一貫して我々がやっているので、とりあえずコンセプトとかは多少ちょっと移転をした時期はあったんですけど、今も継続して、大阪で活動するクリエーターの皆さんが大阪にいて自分たちのやりたい活動を、いながら続けられるような事業環境を僕らがつくるということで、大阪の場合、本当に東京と違って、なかなか仕事がないだとかいうような話があって、東京が青い田んぼに見えている人が多いんですけど、東京へ行っても、力がないと、やはり競争にさらされるだけなので、大阪にいても力がある人は世界中から仕事を受けていますので、私達としては、大阪でちゃんとその人たちが活動できるような状況をつくる。
それもキーワード2つで、1つは、ちゃんと仕事があるような状況、大阪の地域の中から生み出すということと、全国各地、地球上から仕事を大阪に持ってくるというようなこと、そして、もう一つは、やっぱり人間って仕事をやっていたら疲れますから、疲れたときに弱音を吐けるような仲間が地元にいること。だから、営業は年の半分、地球上でやってもらったら結構です。ただ、一族郎党、従業員、家族全部引き連れて大阪から離れていってもらうというのは困るので、そのためには、大阪に帰ってきたら、本当にけんけんごうごう弱音も吐ける、本音も語れる仲間がいると。仕事と仲間というこのキーワードを大阪でつくるという活動をしています。
詳しくしゃべり出したら切りがないので、とりあえず僕らは日々、仕事と仲間ですので、リアルなコミュニケーションを大事にして、クリエーティブコミュニティーの中にどんどん新しい人を引き入れては、その関係性がうまく成り立つような状況をつくっていると。あとは勝手にほっといたらいろいろな事業が生まれますので、僕らとしては、見つけたら訪ねていって、誘って知らせるという、ここのスパイラルの赤い部分だけをやり続けているという、そういう状況でございます。(拍手)
【小笠原教授】 済みません、駆けつけ一杯どころか、駆けつけ5分話していただいて、申しわけありません。ありがたいことでございます。
さあ、テーマに話を戻していきたいと思います。時間的にはちょうど30分残っておりますので、うまく進めていきたいと思います。
今までのところは対流ということ、対流を起こしていく現場での課題や取組という話をしたんですが、パート2のほうにつきましては、コワーキングスペースを実際にやってみたい方々が今日大分いらっしゃる。もしくは、実際に事業として始めていらっしゃる方もいると思うんですね。そこについて、先進的な取組をしている皆様のほうから、例えば、こういう困り事がコワーキングスペースを運営していると出てくるんだと。もしくは、こういう問題が出てくるけど皆さん頑張ってねという、ちょっと笑顔で後進の皆様に対しての、コワーキングスペースを計画する、運営をする、そういう方への助言をいただければと。最近で言うと、生暖かい感じでの助言をいただければというふうに考えております。
挙手でいきたいと思います。岡さん、どうぞ。
【岡代表】 時間がないので、早目に。多分、知りたいこといっぱいあると思うんですけど、コワーキングスペースって、でき上がった世界だと皆さん思わないでほしいと思うんですね。今からつくっていくべきであって、星野さん6年で、僕ら5年ぐらいで、まだ全然つくっている創成期だと皆さん思ってほしいんですよ、そもそも。なので、もうでき上がった形にはめこもうとか、楽して得する、あのまねすれば何とかなるんじゃないかみたいなサラリーマン気質でやるのはやめたほうがいいと思うし、僕なんか、最初やったときって、コワーキングスペース、認知されてなかったので、どうやってやるかといったら、秘密基地って名前だし、女性の人とかがドアを開けて来てくれたら、抱きつくぐらいの気持ちですよね。(笑)よくぞ来たみたいな。
でも、この最初の気持ちがすごく大事だと思うんですよ。だって、概念にないものを、ドアを開けてくれるってすごい勇気じゃないですか。涙流して抱きしめようかみたいな感じですよね。これ、みんなリアルに、え、そうなんだって思っている人はやめたほうがいいですね、コワーキングスペース。そんな世界じゃないです。もっと始まりなんで、来てくれた人に感謝したいと思うし、僕、それが一番最初の交流の原点だと思うんですね。ウエルカム感というか、よくぞ来てくれましたというところとか、やっぱり持ち続けてほしい。何で持ち続けなきゃいけないのかというと、まだ創成期の範疇だからです。僕はそう思っています。
【小笠原教授】 ありがとうございます。すごいですね、今日は。コワーキングスペース創成期。多分、明日の新聞にはコワーキングってこう出るんじゃないかと思うぐらい、すごいなと思うんですけど。
【岡代表】 ちなみに、皆さん、お手元にあるかもしれないですけど、コワーキングカンファレンスジャパンというのをやろうと思っていて、こういう会ってすごくいいので、みんなで共有できたらなと思っているんです。星野さんとか、プロフェッショナルがいっぱいいるし、みんなの知見を共有したら、もっと面白いのがあるかなと。ここの席は多分ないかもしれない。皆さん持っている。持っていない人は言っていただければ、うちのスタッフがいますから、手を挙げてください。3人か4人ぐらいいるので、もらってください。10月、企画しています。
【小笠原教授】 サラリーマン気質という話が見事にばさっと切っていただいて、非常によかったかなと。というのは、コワーキングスペースが、空間をつくったからお客さんが来るだろうというところの、序の口、序二段みたいな話をしている方が結構いらっしゃって、ここ、全部、横綱なんですよ、今、立っていただいている方々が。その点では、来てくれた人に感謝というものすごく基本的なところ、これは大事だなと思って見ていますね。ビジネスとしてやるにしても、やっぱり感謝の心というところが戻ってくるとは思うんですが、今、非常に僕は感動しました、その発言には。コワーキング創成期、これ、登録でもしましょうかね(笑)。ありがとうございます。
では、次、参りましょう。いかがでしょうか。
【星野代表取締役】 困っている課題ということでよろしいでしょうか。
【小笠原教授】 課題ですとか、コワーキングスペースをやっていきたい人たちに、こんな大変なことあるんだよと。でも、頑張ってねという話ですね。必ず最後、頑張ってねで終えていただきたいと思います(笑)。だからやめろというのは、ちょっとつらいところがありますので。どうぞ。
【星野代表取締役】 大変なところというと、やっぱり初めにどういう人に来てほしいかをある程度明示したほうがいいのかなと思っています。結局、それがないと、場末のスナックみたいになってしまって(笑)、いつも同じ人がいて、外の人がコミュニティーで入りづらいとかがあるので、基本的にはウエルカムなんですけど、例えば、ただ休みたい人、うちは大宮駅周辺なので、パチンコ屋さんとかが多いんですけど、それが悪いわけじゃなくて、パチンコ屋さんが始まるまでの待ち時間とかに来られても、また空間が変わってしまうと思うので、大宮地域で、埼玉県さいたま市域で何かしたい人に来てほしいから、僕たちはそういう人に来てもらえるように、本を置いたりとか、具体的には、ITの本を置いたりとか、創業支援の本を置いたりとか、結構埼玉県にちなんだ町の本があるので、そういう本を置いたりとかして、あとはイベントもそういうような創業支援イベントをやったりとか、あとはホームページのつくり方のイベントをやったりとか、地域の活性化のイベントとかをやって、僕たちは480平米という限られた空間でやっているので、なるべく来てほしい人を提示することで、そういう人たちが来るコミュニティーをつくる。
ある程度コミュニティーができてからは、いろいろな言い方があると思うんですけど、運営上、非常に楽になるんですが、これ、オンラインもあるので、誰が見ているのかわからないんであれですけど(笑)、来てほしくない人に来てもらうと、結構大変になるので、そういう人が初めに来ることを結構気をつけないと、みんな疲れて、結局採算も合わなくてやめてしまうというのも見てきたので、初めのそういうスタートの、立ち上げ時に、どういう人に来てほしいかの提示は意外に大切で、初めに来てもらったことで優遇し過ぎて、本来やりたいことと変わってしまう人とかは本当に疲れてしまうと思うので、それだけは気をつけたほうがいいかなと思っています。
【小笠原教授】 今の話、おもしろいのは、多分、これ、民間事業者だからできるというところがあって……。
【星野代表取締役】 そうです。行政だと、税金とかあるから、無理ですよね。
【小笠原教授】 あなた来なくてもいいよ、よそがあるよという話を明確に言えるのは、多分、民間事業者の強みだと思うんですよね。
【星野代表取締役】 そうです。そこがやっぱり違いですね。だから、行政のやっているそういう空間とは、埼玉にもあるんですけど、かち合わないと思っています。
【小笠原教授】 多分、いいんだと思うんですよね。星野さんの話が聞きたいと。星野さんの助言がもらえて、ここで仕事ができれば僕幸せという人が集まってくると。
【星野代表取締役】 そうですね、私は最近あまりいないのであれなんですけど、うちのスタッフが運営していますので。
【小笠原教授】 僕、あると思うんですよね。自治体の中で複数、だから、さいたま市ぐらいの規模であれば、そういうのは複数あって、その中でここだとこういう特徴があるというところ。だから、自分が排除されているんじゃなくて、たまたまここに合わなくてこっちに行ってみたということができるほうがいいと。
【星野代表取締役】 そうなんですよ。近くに幾つかコワーキングスペースもあって、それぞれすみ分けがあって、僕たち、例えば、異業種交流会とかあまり、ビジネスマッチング的なことを大々的にやっていたりはしないんですよね。あなたはこのビジネスを紹介したから、私にも何か紹介してくれみたいなことが盛んな、具体名は挙げないですけど、異業種交流会があるじゃないですか。
【小笠原教授】 はい(笑)。
【星野代表取締役】 僕はあまりそういうところに行かないタイプなので、そういうのをすごくやっているコワーキングスペースとかもあって、その辺が非常に、そこができたことで、そういう人がある程度来なくなったので、僕たちの、いい悪いじゃなくて、どっちがいいとかじゃなくて、スタッフ側の運営のストレスはなくなりました。
【小笠原教授】 塩対応のアイドルに客がつくみたいなところがありますよね。
【星野代表取締役】 そうですかね。わからないです(笑)。塩対応のアイドルがちょっとよくわかんないらですけど、済みません。
【小笠原教授】 いや、多分、そういう、大都市であれば選べていくというところが、今のコワーキングスペースの現状なのかなという気がするんですよね。なので、一つそういう切り口は多分あるだろうということは思いました。
【星野代表取締役】 なので、つくった初めのコミュニティーは結構大切だと思います。
【小笠原教授】 ありがとうございます。つくった最初の理念ですよね、こういう場所にしたいというところ。
【星野代表取締役】 そうです。僕たちは創業支援と地域活性化をさいたま市でやりたいというところなので、その趣旨に賛同する人に来てほしいなと。
【小笠原教授】 いいですね。ありがとうございます。
次、いかがでしょうか。
【坂本代表社員】 いいですか。
【小笠原教授】 どうぞ。
【坂本代表社員】 まず、岡さんの話もめちゃくちゃ共感するんですけど、自分も人口1,700人の村、かつ土日にバスが動いていないところに、ガラッて来てくれる、コワーキングやりたいと言っている人は、本当に抱きつきたいぐらい、わあ、済みませんみたいな感じなんですよ。だから、まず、うちの場合は、すごくラッキーなことに、距離が障壁に、要はフィルターになっていると。わざわざそんなところまで、場合によったらレンタカーで来るみたいな人というのは、そういうところに価値を見出してくれている人なので、すごく結びつけやすいという、そういうのは都市圏のいわゆるコワーキングとは違う、本当にそれはメリットだなと感じていて、かつ、その辺にある環境の豊かさというのもありますし、そういうことにもまた価値を置く人がいて、来られる。
それはすごくありがたいなとは思っているんですけれども、ただ、収益ということを考えると、うちの場合は行政がやっている事業なので、ことさらそれを考える必要はないんですけれども、実際に数字を見てみると、すっとこないわけですよね。なので、民間事業者が完全に自主事業でやるということは、おそらく我々ぐらいの規模感の自治体だと、まず無理だなというのが正直なところで、それは実際に収益が上がるようにするために、いろいろ改善したとか、トライしたことがないのでまだわからないんですけれども、今のところはやっぱりすごく難しいとしか言えないなと。
なので、コワーキングの機能、いわゆるコワーキングの利用者の利用料で賄えるような事業単体で、地方でコワーキングをスタートするというのはやめたほうがいいなと。なので、コワーキングに来た人同士が何か始めた、その中から生まれた事業が、自分たちの副次的な収益になるんだみたいな、そういうインキュベーション的なことも兼ね備えていかないと、おそらく地方の場合はしんどいだろうと。自分の場合も、自分の仕事を持ちつつ運営というのを、両方、二足のわらじで動かしているのでうまく動かせていますけれども、専任でそれをやるとなると、やっぱりなかなかしんどいもんじゃないかなと思うので、できれば、もし地方でやられる場合は、何か違う事業も並走させつつ、コワーキングをそこに付加するということをお考えになったほうが、おそらく持続性が高いなというふうに感じます。
【小笠原教授】 ありがとうございます。私も実は大学の授業ですとか研究のほうで、コミュニティーカフェの話をやるんですね。すると、カフェといって、コーヒー出して、ケーキ出して、パスタ出してという世界とはまた違うものがあって、何を狙って、どこで収益を上げるのかというのが、結構、荒いところが多いわけですよね。そうすると、ここがこれを狙っていく、そして、ここが補助金をとってもいいと。でも、ここのところは真剣にこれで繋げながら切り分けていくみたいなところというのはあってよくて、どうもそのあたりが、場を置けば人が来て、それで飯が食えると思っている方がやはり一定数いるのかなというのは感じています。
【坂本代表社員】 おっしゃるとおりですね。特にですけど、コワーキングの利用料を収益の柱に据えると、本当に誰でも来てもらわないと回らなくなるので、その場所のコミュニティーはすごくつくりづらくなると思うんですよ。星野さんの話じゃないですけど、来てほしくない人にもやはり来てもらわないといけなくなるというのがやっぱりあまりよくないポイントで、来てほしくない人には来てもらわなくていいですというふうに言える状態をつくろうと思うと、やはりそこだけをメーンの柱に据えちゃうと、言いたくても言えないという状況になっちゃうので、そこはそうやな、これ、オンラインですからね。大丈夫なんですか(笑)。
【小笠原教授】 いや、でも、この話はすごく逆に大事なことで……。
【坂本代表社員】 そうですか。
【小笠原教授】 今、聞いていて思ったのは、コワーキングスペースの話というのは、新しいコミュニティーづくりなんですよ。
【坂本代表社員】 おっしゃるとおりですね。
【小笠原教授】 ここのコミュニティーに入らないと、あなた方さようならというのではなくて、それは自分がどうやって能動的にコミュニティーを探していくのかという行為なので、コワーキングスペースというのは、コワーキングスペースに入った人は地球からさようならではないんです(笑)。地球の上にいながら、新しいコワーキングスペースに加わっていく。でも、この感覚が多分共有できる人は、まだそんなに多くないと思うんですね。我々は、あちこちのコワーキングスペースに顔を出したりしているので、何となくわかるんですけど、ありますよね。ここのコワーキングスペースは私を呼んでるというところと、入って使っていて、やっぱりこのスペースは私を呼んでいないという、さようならというのは当然あると。でも、その感覚は多分、運営する側だけじゃなくて、利用する側も明示的に持っていてもいいのかもしれない。
【坂本代表社員】 そうですね。おっしゃるとおりですね。
【小笠原教授】 そうすると、このコワーキングスペースは、このカフェは、この町は私を呼んでいるかどうかと。だから、多分、坂本さんのところは、その能力が非常に高い。いろいろな人とどう繋がっていくのかということに満足を提供できているんじゃないかなという気がするんですよね。
【坂本代表社員】 ありがとうございます。
【小笠原教授】 だから、距離の話、フィルターになっているというのが、むしろフィルターよりも吸引力がちゃんとそこに備わっているというところであれば、むしろこれは非常にいい距離感なのかもしれないですよね。
【坂本代表社員】 そうですね。それはありがたいなと思っています。
【小笠原教授】 多分、ニューツーリズムとか、そちらのところにもはまってくるネタになるんだろうかなと思いますね。
【坂本代表社員】 そうですね。ほんとうに地方でやっぱり仕事がどんどんなくなっていくというのも大きな問題で捉まえられているんですけれども、コワーキング発で新たな仕事が創出されるというのが現実の目の前に起こっているというのを目の当たりにしているので、ぜひそういうものがたくさん増えてほしいなというのが実感としてあります。
【小笠原教授】 いいと思います。これはお客さんを選ぶし、逆にコワーキングがお客さんにも選ばれるというところが、一つみんなが共有する大きなテーマなんじゃないかなというふうに思いました。
さあ、あといかがでしょうか。どうぞ。
【土山部長】 今、コワーキングスペースの収益面のお話もあったと思うんですけど、本当に大事なことだと思っていまして、我々民間事業者、あるいは不動産プレーヤーの立場から考えますと、東京圏、神奈川県、わりといいところの建物の再生、活用を考えたときに、やっぱり高いわけですよ、土地の値段、建物、場所の値段。というところで考えたとき、BUKATSUDOとか他のところをやってみて思ったときに、ここの場所に人をこんなに置くってどういうことなんだろうな、もったいないよなというところを、確かにコワーキングスペースというところでの収益の最大化を目指すものの、ほか何かないのかなと思ったときに、昨年から始めているんですけれども、茨城県の結城市さんの移住促進窓口業務を受注しています。コワーキングスペースの受付のほうで、やっぱりコンビニも昔は生鮮食品とか雑誌とか売っているだけだったのが、今は電力料金は払えるし、チケットは買えるし、エリアのコミュニティースポットになっているような感じになっているじゃないですか。そういったところを、コワーキングスペースというものが働く場所であると同時に、ほかの何かしらの機能を内包していったときに、別のマネタイズが発生するということはできないのかなというところをトライアルでやったりしています。
あとは、壁、床、天井を全部売るみたいなところで、先ほどBUKATSUDOみたいなところを言っていますけど、やっぱりいろいろな活動で、カメラとか、市民の活動をされる方に壁をギャラリーで貸し出すとか、床は大体貸したので、そうすると、次は、壁だなと。それでは、天井はどうするかという話なんですけれども、そういったような、あるものを全部活かすという視点で、確かにコワーキングスペースというのは、基本的なことで収益化を目指すと同時に、他に何かできるんじゃないかなということを考えたほうがいいかなと思います。
【小笠原教授】 今、収益が大事というのは大変、僕も賛同する部分で、近年、リビタさんもその一部分ですけれども、鉄道会社さんですとか、不動産会社の方が大変コワーキングスペースに関心を持っていらっしゃると。今、私、非常に驚いたのは、壁、床、天井、天井は大変気になりますね(笑)。リビタさんが天井を売り始めたと言ったら、僕、間違いなく見に行くと思うんですけれども、この話がどうもコワーキングスペースの中にある非営利という言葉、そこに惑わされる人が多いところが僕はあるような気がしていまして、やはり儲けなくてはいけないと思うんです、コワーキングスペースは。そうすると、いろいろな形での、まだまだ稼ぎ口というのは、コワーキングスペースは相当あるんじゃないかと。でも、そこに諦めているところも随分あると。今のは、これだけの人が集まっていて、これを活用しない手はないと。逆に言うと、人の集まっているところにコワーキングスペースを入れていくということも十分にあり得るわけで、おそらく不動産ですとか、商社の方は、その辺考えていらっしゃるんじゃないかなと思うんですね、その点では、ある空間ですとか、コミュニティーのマネタイズというんですかね。そういうところにこの話は繋がってくるのかなと思っていたところでもあります。天井は大変気になりますが、それはまた終わった後にでも聞きたいというふうに思っております。
さあ、次、いかがでしょうか。どうぞ。
【野口係長】 まだちょっと私、話していなかったので、先ほどリビタさんの方の、場所というところがどうしても坪単価が高いので、全てを使いながら収益を上げていくというところがあるんですが、僕は逆に、坂本さんのようなローカルエリアにあるコワーキングということで、その辺を話していきたいと思うんですが、実際、我々商工会議所等、市のほうに委託をされてやっていますので、運営費自体は一応税金でやっています。ただ、投資というのは、まちづくり会社のTMO結城のほうの、町の人たちが出した資本金を出資して取り崩してやっていますので、これをしっかり収益化して、崩した資本金を返さないといけないという使命感がありますんで、確実にそういった部分としては収益を上げて、また、コワーキングの運営費も、今年度で終わっちゃうんですね。わからないですけど、次年度は全くそこの公的資金が入らないという予定なので、終わっちゃうので、そこを何とか自立化していくという部分を今のうちにしっかり確立していかないといけない部分がありまして、実際に皆さんおっしゃったように、コワーキングだと食べていけないんですよね。実際に自分たちも、yuinowaをつくる前に結いプロジェクトの活動で、2万人ぐらい集まるようなイベントをやったりとか、あとはそういう関わる人たちが出店したのが100組ぐらいいたりとか、いろいろな期待感もあって、結いプロジェクトがやるyuinowaだったらかなり人が来るんじゃないかというところだったんですけど、実際、コワーキングは、目的だけだと、正直ちょっと厳しいんですね。
だから、なるべくそういうキュレーターの人たちだったりとか、人が必ず常駐するようになって、例えば、自分が常にいるようにしたりとか、一緒にやっている建築士の飯野君だったり、シェアオフィスができたので、ここ最近は人が常駐するようになったので、それを目指して人が来るようになってきたんですよね。だから、やっぱりそういった部分は大事だなと思って、コワーキングだけで、ただ目的だけを果たすために場所をつくるというわけじゃなくて、必ず人がいて、そこに対する期待感だったり、きちんとそれを来た人たちに対して、皆様に伝える。面白くて、どんな人が来たのかなということで、常にウエルカムの態勢をとることで、それでどんどん人が来るようなきっかけと、その人がきちんといついていてくれれば、また月額会員というきちんと収益が確立する。うちもシェアオフィスがあるので、そこに対する専有するスペースの賃料が入ってきますので、そこをきちんとつくっていって……。
【坂本代表社員】 そこが収益の柱の一つなりそうですか。
【野口係長】 そうですね。そういう専有する人たちをどんどん増やして、こういうこと言うのもあれですけど、コワーキングは収益としては二の次として、入り口として考える。気軽に入ってくる部分として、コワーキングがあれば入ってこられるかなと。
【小笠原教授】 よければ、先に岡さんのほうから行きましょうか。どうぞ。
【岡代表】 コワーキングは収益モデルにならないというのは、僕は全く違うと思っていて、星野さんも多分そうで、僕らは、そこから次のモデルをどう出すかにフォーカスを当てている。つまり、例えば、鉄鋼系の人がいて、僕、建築士ですけど、建築士的な人間と鉄鋼系の人が合わさったら何ができるかみたいな、それを考えていく。つまり、間にどんなビジネスがあるかをずっと見ていく仕事なんですよ。1段目はいいんですよ。入っていただいてどうだということだけれども、本当はそこからバリューまで上がっていかないといけない。第2段が本丸なので、第1段目はそういう集客のようなモデルは大事だと思いますし、僕も苦労しましたからよくわかります。その次が本丸だから、そこまで行きたいわけですよね。
星野さんとかはまた逆に、そういったコミュニティーがどんどん連なって大きくなっていくタイプなので、星野さんはその辺どうなんですか(笑)。
【小笠原教授】 今日はどんどん行きましょう。
【星野代表取締役】 大丈夫ですか。堂野さん、大阪から来ているのに、ちょっと済みません。僕、一言二言。そんな儲からないですかね。ちょっとよくわからない。儲からなかったことないので、よくわからないですけど(笑)、すごく収益的にも上がっていまして、結構、オープン当初からそれは変わらなくて、フロア、私たちは全部自己資金なんですよ。銀行からも借りていませんし、私の自己100%株主の会社がやっているんですけど、先ほどのお話のとおりで、フィットネスクラブのビジネスモデルなんですよね。月額会員さんから、うちだと、口座振替かクレジットカードの継続課金で、シェアオフィスとコワーキングスペースの貸し会議室は、その2つを合わせると何百万かになって、そのほかにドロップインが1日40人ぐらい来て、2時間500円、1日1,000円なんですけど、その他に会議室が2,000円の部屋から9,000円までの部屋があって、それの受付も7階で、要はコワーキングスペースの受付でやるので、賃料仕入れとか間違えなければ、別に何で成り立っていないのかよくわかんないんですけど、だから、僕たちも全国展開するかというと、でも、ちょっと属人的なんですよね、ビジネスモデルが。だから、これはこれでいいかなと思っていて、今、次は埼玉県の遊休耕作地を使った農業とかに個人的には興味があるので、そういう農業でやりたいなと思っているんですけど。
【小笠原教授】 土屋さんがちょっと話したいようですので。
【土屋企画官】 黙っていようと思ったんですけど、言いたくてしようがなくなったので、岡さんと星野さんのお話を伺っていて、皆さんの手元にお配りしているんですけど、これはこの4月に、稼げる国土専門委員会で取りまとめたもので、この会合のきっかけになった材料でもあるんですけれども、5ページ目を開いていただきたいんですが、5ページ目のところに、これ、あえて大都市のところをメーンに聞いていって、民間事業者が取り組まれていて、どんな意図でやっているんですかというのを表にしているんですよね。運営の意図①、黒字ですかって聞いたら、ほとんど黒字じゃないんですよね。いろいろな理由があるので、ちょっとここでは言えないんですけど、やはり全体的に考えたときに、コワーキング単体だと、我々がやった調査では結構厳しいんじゃないかなというところの印象を持っている中で、結構岡さんと星野さんというのは私的には「おおっ」という感じなんですけど。
【星野代表取締役】 そんなことないです。多分、出会っていないだけです。そこのCASE Shinjukuもそうだし、三浦さんのところ(NEKTON:神奈川県藤沢市のコワーキングスペース)もそうだし、今日来ている人は、僕、ここ半分ぐらい知り合いですけど、結構収益が出ているところがあるので、多分、訪問しているところの違いです。
【土屋企画官】 なるほど。そういった意味で言うと、結構、大企業さん系の話を私達は聞いていたなという印象を持っているので……。
【星野代表取締役】 出会う人の差なだけで、別に儲かっていない人ばかりじゃないと思います。
【土屋企画官】 ぜひ来年度、最終取りまとめなので、そういう方々のお話を聞かせていただきたいと思います。
【星野代表取締役】 じゃ、あの辺と……。
【土屋企画官】 よろしくお願いいたします。
【星野代表取締役】 はい。
【小笠原教授】 坂本さん、よろしいですか。時間がないので、一言だけ、今の話でもし思うところがあれば。
【坂本代表社員】 そうですね、でも、本当に今、うちの村で収益化できるコワーキングができるんだったら、相当インパクトあると思いますね、正直。自分はまだ行政と一緒にやらないとできない。むしろ収益化できない事業だからこそ行政とやらないといけないというふうに考えているので、それでも必要な事業だと思っているんですけれども、でも、本当に自主事業で回っていくのであれば、同じことがもっと横展開できるという可能性もあるので、ぜひせっかくこういうメンバーが集まったので、今後、そういう形で何か勉強できたらいいななんて思いました。
【小笠原教授】 小さな町、大きな町という中の違いとはまた一つ別な軸があると思うんですね、この話。小さなところでもできるし、大都市でもあっても、やっぱり苦境のところというのはあるわけで。
【坂本代表社員】 確かにそうですね。
【小笠原教授】 そのあたりというのは、今後、いろいろ明らかにできる部分かなというのもあるし、逆に期待できる。だから、僕、岡さんの話、非常に前向きに伺って、僕はもともと技術系の部署にいたので、そうやって社会を変えていくということは十分可能だろうと。ただ、全ての人にそれを求めていくと大変だけれども、そこに先鋭化したコワーキングスペースをつくるというのは十分可能だなという認識は持っているんですね。
【岡代表】 まだ創成期ですから(笑)。皆さん諦めずに、本当に真剣に考えたほうがよくて、それで共有したりとか、なのでコワーキングカンファレンスをやろうと思っているんですけど、まだまだみんなでつくり上げる時期だと思っているので、全く自信を喪失することはないし、失敗した人はリスペクトしてちゃんと聞くべきだし、まだまだ皆さんつくり上げていきましょうよ、今からまだまだ。まだまだ絶対できると思うんで。
【小笠原教授】 新しくやった人同士でぜひ抱きつき合いましょう(笑)。
【岡代表】 いやいや、今後来られる方も一緒につくりたいと思っています。
【小笠原教授】 そうですね。
【土屋企画官】 野口さん、ずっとマイク持ってますよ。もうしゃべってください。
【野口係長】 いや、都心部の人たちと地方のローカルのコワーキングの役割って違うんじゃないかというところで、やはりそこの部分って結構課題として……。
【小笠原教授】 あると思いますね。ちょっと時間的にあれなんで、今日、このままでは載せにくいですけれども、軸としてやっぱり地方と大都市というものと、先ほどのもう一つの別の軸が、多分、何らかの収益の問題ではあるということはここで明らかにしておきたいかなというふうに思います。
さあ、いかがでしょうか。どうぞ。
【堂野所長】 それでいくと、純民間でやられているコワーキングと、私達みたいにやはりある程度、行政の目的を背負わされてやっているコワーキングとは、全然収益のスタイルも違うし、全然別のという感じがするんですよ。それで、例えば、逆に、行政のお金が入っている形のコワーキングをやられる場合に、それで何か自主事業というか、行政のお金が入っているということは、何らかの形で行政の目的を達成するためのミッションが与えられているはずなんですよね。だから、ある意味、民間であっても、そのミッションに対して忠実にそのミッションを遂げていくということをやらざるを得ないので、そこを儲けのために歪めるみたいな話だと、それは行政のお金を入れるべきではないんですよ。だから、私達は委託事業だから、大阪市にこういう形のミッションを我々は背負わされて、それでその状態でやる。
だから、行政の仕事だと、例えば、肉を売るというミッションがあったら、肉が売れなくなっても肉を売り続けるのが行政のミッションなんですよ。ところが、民間だと、肉が売れなくなったら野菜を売る、野菜が売れなくなったら魚を売るという、そこを変えていけるんですね。だから、私は大阪で活動しているクリエーター、デザイナーをいかに元気にするかというミッションを背負わされているわけですから、手を変え品を変え、やっぱりそこに対して忠実に、だから、そのためにある意味、民間では本来収益を意識しなければならない、それは本当に大事なことだとは思うんですけど、でも、そこを捨ててでもそのミッションを達成するというほうが、行政の仕事を受けている以上、優先される話なので、そこをすごく混同されている方が私は増えてきているのではないかなと思うんですよ。行政のお金を使って自分達がやりたいことをやっているのではないかという。それは絶対違うでしょうと私は思うんですよね。行政のお金を使う以上、行政のミッションがあって、それに対していかに民間の能力を使って、忠実にそれを達成するかということが民間に委託されている本来の趣旨のはずなので、だから、そこを、肉が売れないようになったから野菜を売ると、野菜が売れないようになったから魚を売るというやり方をするのは、僕は違うと思います。
【小笠原教授】 多分、私は、交通の話も仕事としてやっているんですけど、鉄道会社の話と一緒なんですよね。東京の大規模私鉄さんは、多分、鉄道で乗せていれば、お客さんが乗って、黒字になると。でも、田舎だって、1日20本しか電車動かさないけど、運行しなきゃいけないと。そのときにそのコストを誰が持つのかという話は、実は同じ問題があって、そうすると、やっぱりやらなきゃいけないところにどうやって仕事の場をつくるのとか、ネットワークをつくるかという意味では、それぞれ置かれている状況が全く違うということは理解しなくてはいけないと。
先ほど言った軸が違う話も、X、Y軸で、ただ立体じゃなくて、それは多分歪んでいるんですよ。そうすると、かなり我々が、自分が見ている世界と他の方が見ている世界が軸がずれているので、一様にこの話を簡単にばさっと切り難いのかなというのはあるんですね。先ほどもだから、岡さんの件で言ったのは、あるところでは先鋭的にやってもいいと。だけど、あるところではやはり役所の力を使って、広く地域に向けてサービスを提供していくという部分もなくてはいけないと。それがシームレスに繋がっているところがあって、これはもうちょっと鷹揚に議論をしていったほうがやりやすいのかなという部分はちょっと感じたんですが、堂野さん、いかがですか。大体そんなことになるんでしょうかね。
【堂野所長】 そうですね、だから、本当に純粋に民間であれば、本当に自分たちのやりたいようにやって、当然、民間だから収益も上げていかなくてはいけないし、そこは本当にビジネスとしてやっていくべきだと私は思います。
ただ、行政のお金が入っているにもかかわらず、あまりにもそこに意識が行き過ぎて、本来遂げなくてはいけないミッションを忘れて、何か自分たちの収益ばかりを追っているようなスタイルというのが、最近、私はすごく増えてきているように思っていて、やっぱりそこを混同してしまうと、すごくややこしくなるのではないかなという、日々、感じていることですね。
【小笠原教授】 ありがとうございます。非常にこれは、いい重要な指摘だと私は思って、今、伺っていたんですけれども、先ほどから言っていたのは、民間事業者がいてもいいし、でも、そういう地域のためにということで、まさに非営利の世界で、でも、そこでやっぱり地道に繋げていくということもしなきゃいけないと。それは様々な切り口があるんだろうなと思っていたものですから、堂野所長の言っている話、非常に僕は共感をしたというところがあります。
では、最後になりましたが。
【植田部長】 最後。私もこの業界、まだ入って1.5年ぐらいで、やっぱり不勉強なところがある中、本当いろいろな視点でいろいろな活動をされているなと思って、私もすごく勉強させていただきました。
その中、やはり大企業がやっているコワーキングスペース、コーポレートコワーキングと、また皆さんがやられている業態もすごく違うなと思って感じたのが、私たちは収益は見ていないんですよね。LODGEの売り上げは、この1年半で十三、四万なんですよ。これは何かというと、コピー機の値段です(笑)。この間ようやくふたをあけて数えてみたら、それぐらい稼いでいたんですが、本当に収益を上げなくていいのかというのを経営とする中で、収益を上げたいのであれば、それこそ私がもともとやっていたアプリに広告1個入れれば済む話なので、コーポレートコワークがやることは、ここでコワーキング事業をして、お金を稼ぎたいというところではないと。なので、やっぱり先ほど話したように、何千人いる会社の社員一人一人のマインドを変えるというところが、他のところの皆さんと見ている視点がちょっと違うところで、すごくおもしろかったです。
私たちも、オープンして延べ16万人ぐらい来ていただいている中、1年間ずっといろいろな活動をして、宣伝とかはせずとも口コミで広がって、毎日何百人来ていただいて、まあまあ、外目で見ると、いいスペースになったかなと自負していたところ、コーポレートコワーキングでしっかりと目を向けなくてはいけないのは、社員だったんですよね。なかなか――ヤフー社員とは言わないほうがいいですね――大企業にいる社員はなかなか重い腰を上げてほかの人と絡まないというところが、こういったスペースを運営して痛感したところです。
もともとサラリーマンなので、普通に本来やる仕事をやって給料をもらって稼いでいる人たちなので、その人たちにこういったオープンスペースをぶつけて、どうやってリーチするかというと、結局、その人たちのすき間時間にリーチするしかまず1つはないかなと。それこそランチタイムに呼んだりもそうですし、仕事終わりにイベントに参加するみたいな、そういったすき間時間にリーチするのが1個と、あと1つは、その人達が給料をもらってやっている仕事にどれだけこのスペースがあなたのためになるというところを、どれだけぶつけるかということなんですね。なので、ここのスペースがあるからこそ、いろいろな大学生が来て採用に繋がったというエピソードもそうですし、例えば、ヤフオクのファンがたくさんいるんですよね。そのヤフオクのファンに自分のサービスの新機能をテストする、さわってもらうとか、そういったヤフーの――ヤフーに限らず、コーポレートコワーキングやっている人は、自分たちのもともとの本物の事業の中にどれだけ外の意見を取り入れるような働き方を目指していくかというのが、他のスペースの皆さんとちょっと観点が違って、自分も勉強になったし、すごくおもしろかったなと思いました。
【小笠原教授】 ありがとうございます。今日、一番最初が植田さんで、一番最後も植田さんという、なかなかいい話だったんですが、何を言っているかというと、今日、やっぱりオープンイノベーションに始まって、オープンイノベーションに終わるわけですね。私も学者の端くれとして、少し格好いいことを1つ言っておきたいんですが、外部性の話なんですよね。多分、ヤフーさんとしては、やらなくても商売は回っていく。だけど、外部性として、自分たちが外と繋がることによって、どれだけのメリットや効果が出てくるのかと。これは、今日来ていただいている皆さんも、実は考えていくと、多分、しんどい話だと思うんですね。自社の中で儲けようとか、成果を出そうという話じゃなくて、自社の外部性の中で、新しい社会に向けて価値を生み出していくという話をするのは、結構しんどいと思うんですね。
今も十三、四万円という話が、非常に私としては、ちょっとにやにやしてしまうぐらいショッキングなところだったんですが、やっぱりあるしんどさを乗り越えていくと、多分、ここからいろいろなものが出てくるんだろうというところも感じたわけでございます。
そろそろ時間も来ておりまして、簡単にまとめをして、土屋さんにマイクを戻そうと思いますが、やはり今日出てきたのは、新しいコミュニティーの話をしているんだと。我々は、コワーキングスペースという話をしているんですが、新しいコミュニティーの話をしているということが1つ発見できたのかなというふうに思います。
ビジネスの話になっていますが、この話はおそらく出口としては働き方改革のほうに流れていく。我々はどう働いていくのか、どう価値を生み出すのかと。そのことを考えないと、コワーキングスペースの話にはたどり着けないですし、もう一つは、やはり地方創生という話になります。日本の国土をどうしていくのかというところで言うと、単にコワーキングスペースをつくりましたといってハッピーエンドにするのではなくて、社会のためにどうやって回っていくのか。やはりこれ、外部性の話になってくるんだなというのは、私、今日伺っていて感じた部分なんですね。対流の整備、対流という場所をどうやって熱源をつくっていくのかというところが一つのやはり落としどころになってくるのではないかというふうに、今日は伺っていて思った次第でございます。やはり人を生かす場をどうつくっていくのかと。場づくりということでは国土交通省のお仕事かなというところで、土屋企画官のほうにマイクをお戻ししたいと思います。
【土屋企画官】 済みません、皆様、国交省、土屋でございます。あっという間の1時間40分ということでございまして、今日皆様からお話を伺っていて、先ほど取りまとめの話もさせていただきましたが、結構要素がいろいろこの中にも詰まっているなという気はしております。単に箱だけをつくってもだめなんだよとか、そういったことも含めて、こちらも皆様の参考にしていただければなと思います。
あと、もう一つ、自分自身、役人をやっていてすごく思うのは、やはり1つの組織の中にずっといると、失敗しちゃいけない雰囲気というのがすごくあると思うんですね。でも、今、お話を伺っていて、対流の場に行くことによって、失敗してもいいとか、失敗することを恐れなくてもいい場所で新しいことが生まれていくんじゃないかなというのを、なおさら感じた次第でございます。
今日、初めての試みでこういう会合をさせていただきました。また次回、どういう形になるかちょっとわからないですけれども、国土交通省としましても、対流というものをキーワードに、皆様、どうしたら日本がよくなるかというのを意識しながら進めて、いろいろなことに取り組んでいただければと思います。
この話は1月から小笠原先生、ヤフー様とやらせていただいていまして、この次もいろいろと考えていますけれども、様々な対流を世界でも起こしながら、また皆様と何かできればいいなと思っております。
今日はありがとうございました。(拍手)
── 了 ──